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ゴルフトゥデイ WEB連載 第9回
股関節まわりの筋肉を伸ばすと、飛距離もゴルフ寿命もぐーんと伸びる!
ゴルフで美BODY|ゴルフピラティス/第9回 股関節を縦方向に動かす編
スムーズでバランスいい効率的なスイングを手に入れるには、そのベースとなる身体作りや身体のメンテナンスが重要。そこで、おすすめしたいのが、ゴルフピラティスだ。
ゴルファーのために考案されたゴルフピラティスは、美的スイングの要となる身体作りに効果があることはもちろん、美しい姿勢作りやシェイプアップ効果、ケガの予防にもつながる。
今回は、股関節の縦方向の動きについて紹介する。
PROFILE
竹内弓美子(たけうち・ゆみこ)
京都府出身。キャナリープランニング合同会社代表。日本女子プロゴルフ協会会員(ティーチングプロ資格A級)。アメリカLPGA T&CP クラスAメンバー。日本ピラティス指導者協会(JAPICA)ゴルフピラティス専門コース開発者。ネバダ州立大学公認ピラティス指導者。日本予防医学会会員。これまでに、のべ6万人以上のゴルファー指導に携わる。著書に、『もっと飛ばせる!ゴルフの体幹トレーニング~ゴルフピラティスでブレない軸をつくる』(スキージャーナル社)がある。ゴルフピラティスを活用した著書や講習等によってゴルフビジネスの地位を確立させ、2019年LPGAアワード「ゴルフビジネス賞」を受賞。
★現在、WEBレッスンの準備中(現在、スタジオは閉鎖中)。キャナリープランニング(https://www.canaryplan.co.jp/)のホームページでお知らせします。
デスクワークで座りっぱなし……という人は、股関節まわりの筋肉が硬くなっている可能性大!
股関節とは、大腿骨と骨盤をジョイントさせている関節です。大腿骨の先端にある球状の「骨頭(こっとう)」と、骨頭の受け皿になるお椀型の「寛骨臼(かんこつきゅう)」からなっており、左右前後、さまざまな方向に動かすことができます。
股関節には、普通に歩くだけでも体重の3~4倍の力がかかるといわれています。たとえば50キロの人なら、なんと150~200キロ……そう思うと若干にコワくなりますが、ご安心ください。股関節のまわりにはさまざまな筋肉や腱がついており、これらが股関節を補強し、自由な動きを可能にしているのです。
しかし、油断は禁物です。股関節は身体の内側にあるため、お腹のたるみや二の腕のプルプルとは違って、なかなか意識が向きません。かつ、日常での動きも限られます。すると、股関節まわりの筋肉はどんどん衰え、硬くなっていきます。そして、お尻が使えなくなってくるのです。
特に、最近は家でテレワークという人も多いでしょう。通勤時の歩行や階段の上り下りがなくなった代わりに座っている時間が長くなればなるほど、股関節まわりの筋肉はどんどん硬くなっていくのです。
股関節まわりの筋肉が硬くなると、股関節は本来持っている機能を十分に発揮できなくなります。動きが制限され、可動域が狭くなり、姿勢も悪くなります。股関節の骨に負担がかかるようになり、痛みやケガ、ひどい場合は骨折の原因にもつながります。
ちょっと転んだだけなのに、大腿骨(特に、大腿骨の足のつけね側にある「大腿骨頸部」)を骨折するお年寄りが年々増えていますが、これは加齢による筋力や骨密度の低下に加え、運動不足も一因になっているのです。
股関節の働きは日常生活のみならず、ゴルフでも重要な役割を担っていることは、皆さんご存じでしょう。
股関節まわりの筋肉が硬いゴルファーは、安定したアドレスの前傾姿勢が維持できず、体重移動もうまくいきません。腰の回転がスムーズにいかなくなり、効率よくパワーを生み出すこともできなくなります。
そこで、ご紹介するのが今回のエクササイズです。
【スワン】は股関節の前側の筋肉を伸ばし、【ピラティス・スクワット】は股関節の後ろ側に働きかけます。
【ピラティス・スクワット】の応用として紹介する【シットダウン】と【ジャンプアップ】は、スイングの動きにも直結します。
【シットダウン】では、捻転のパワーをタメて、ダウンスイングで左脚のブレーキを利かせるイメージ。【ジャンプアップ】では、地面からの力を受けて飛び上がるようにしてヒザを伸ばし、その勢いでパワフルにボールをヒットするイメージで行いましょう。この、「腰を落とす動き→飛び上がる動き」という股関節の縦方向の動きが上手になると、スイングにも必ずいい影響が出ますよ。
「スイングに上下動は禁物では?」と疑問に思う人もいると思いますが、ダウンスイングで伸び上がる傾向の強いゴルファーこそ、沈み込ませる身体の使い方をマスターすることが必要です。
「ダフリそうで怖くてできない」という人も、まずは実際にやってみてください。意外とダフらず、ヘッドを走らせることができるので、皆さんとても驚かれます。
椅子に腰を下ろすイメージで、股関節の動きを意識するのがキモ
■【ピラティス・スクワット】
1.足を肩幅程度に開き、つむじを上、尾骨を下にして、背骨をスッと伸ばして立つ。つま先は真っすぐ前に向ける。へそは背骨に引き込み、お腹を凹ませる。骨盤底筋も締めて引き上げ、お腹とお尻の筋肉で骨盤を立てる。手は腰にそえる。
2.鼻から息を吸いながらヒザを曲げ、腰をしっかり落とす。太ももが床と平行になるまでが理想。
3.口から息を吐きながら、元の姿勢に戻る。これを10回繰り返す。
★POINT
・ヒザと股関節の動きを同調させることが大切
・立ち上がる時はカカトでしっかりと地面を押し、お尻を締めてヒザを伸ばし切る
・呼吸をしながらゆっくり行うこと
・ただの屈伸運動にならないよう注意
【応用 シットダウン】 ピラティス・スクワットの「1」と同じ姿勢を取ったら、ヒザをゆっくり曲げるのではなく、ストンと落ちるように勢いよく曲げて止める。戻る時は、「3」と同じ。
【応用 ジャンプアップ】 ピラティス・スクワットの「1」~「2」まで同様に行ったら、地面を押して飛び上がるようにヒザを伸ばす。
普段やらない動きこそ大切! 股関節の前側を伸ばすエクササイズ
■【スワン】
1.足を肩幅程度に開き、つま先を真っすぐ前に向けて立つ。手は股関節の前側にそえる。
2.おへそを背骨のほうに押し込み、腰の後ろを少し丸めて、背骨のS字カーブがCの字を描く「Cカーブ」をつくる(本連載4回目参照)。お腹とお尻の筋肉で、骨盤を立たせる。
3.鼻から息を吸いながら腰を前方に突き出し、股関節の前側を伸ばす。
3.口から息を吐きながら、元の姿勢に戻る。これを10回繰り返す。
★POINT
・腰を前方に突き出す際は、肩甲骨とお尻に力を入れ、それぞれを中央に寄せるようにする
【おさらい】 ゴルフピラティスって何?
健康的にゴルフを楽しむための体幹トレーニングで、効率的なスイングをマスター!
ゴルフピラティスとは、ネバダ州立大学のドリー・ケラベス教授と、私(竹内)が共同で開発したプログラムです。ゴルフピラティスのすべてのエクササイズはゴルフにつながっており、スイングを効率的に行うための身体作りを目的としています。
ゴルフピラティスの主な効果
体幹が鍛えられる
ゴルフピラティスは正しい姿勢や呼吸法をキープすることで身体のコアの筋肉に働きかけ、柔軟性が高く、ケガのリスクの少ない身体を作ります。
スイングを再現性の高い、シンプルなものに変える=安定感が増す
ゴルフピラティスを行うことで身体が正しく使えるようになると、余計に複雑になっていたスイングがシンプルで効率のいい動きになります。動きがシンプルであれば再現性が高くなり、スイングは安定します。これが、“効率のよい美しいスイング”です。
ケガを予防する=長くゴルフを楽しむことができる
ゴルフピラティスで骨格を本来あるべきポジションに戻し、正しい身体の使い方を習得しましょう。ケガのリスクが減り、長くゴルフが楽しめる身体になります。
身体に負担をかけず、無理なく続けられる
ピラティスは1900年初頭、ドイツ人従軍看護師のジョセフ・ピラティスによって開発されました。負傷兵がベッドの上でできるリハビリが元になっているため、身体に負荷をかけて筋力アップするのではなく、呼吸とともにインナーマッスルを動かし、しなやかでケガのない身体をつくります。
今回紹介したエクササイズも身体に負担をかけることなく、股関節まわりの筋肉に働きかけます。
初めは正しいポジションになっているかどうか、鏡でチェックしながら行ってください。「これでいいのかな?」と考えながらでOK。そうすることで、頭にも覚え込ませていきましょう。
「最近、足腰が弱ってきたかも……」なんてことのないように、ぜひ毎日続けてください。
MODEL PROFILE
宮谷優理(みやたに・ゆり)
京都府出身。職業は歯科医師。速水歯科医院(滋賀県)副院長。「竹内先生にご指導いただき、ゴルフ歴は半年ほど。まさに面白くなってきたところです」
取材・文/相田英子
写真/作田祥一
撮影協力/ロイ・マーケティングデザイン
【シリーズ一覧】
●第1回:ゴルフピラティスとは
●第2回:身体の状態をセルフチェック
●第3回:正しい姿勢と呼吸法を身に付けよう
●第4回:スイングが不安定、手打ち、腰痛、ぽっこりお腹……その原因は腹筋の弱さにあり!
●第5回:歩き方のきれいな美尻ゴルファーは、ゴルフが絶対上手くなる!
●第6回:ウエストにくびれをつくりながら、飛距離アップを目指す!
●第7回:身体を対角線に使う動きをマスターすると、スイングがスムーズ&パワフルに!
●第8回:足首や足裏にアプローチする地味系エクサイズこそ、スイングを安定させる必勝テク!
●第9回:股関節まわりの筋肉を伸ばすと、飛距離もゴルフ寿命もぐーんと伸びる!
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